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夢の守り人

夢の守り人 上橋菜穂子著;新潮文庫
夢の守り人 (新潮文庫)

あー面白かった。
やはり上橋菜穂子の『守り人』シリーズは上質です。
読んでてすごく面白いし、ファンタジーらしい非現実世界を描いていながらほとんど違和感なく読み進められます。登場人物に感情移入もしちゃいます。

今回は、主に大呪術師トロガイと、その弟子タンダを軸としたお話です。
叶えられない夢や望みに絶望し、今の人生を投げ出したいという気持ちを持つ人々の魂を絡めとってしまう異世界の『花』から人々を救い出そうとするタンダ。もちろんバルサやチャグム、星読み博士のシュガ、その他『精霊の守り人』から出ている登場人物たちももちろん出てきます。
やはりバルサのキャラクターがとても良い。タンダやチャグムに対する気持ちが時に暖かく時に切なく、大変細やかに書かれています。
前作の『闇の守り人』とはまた違った雰囲気で楽しめます。
眠りのときに見る夢と、人々が今の人生で叶えられていない願いや望みを、同じ『夢』という言葉で表現しているのは、考えてみると確かに不思議で面白いですよね。
古来、人々はそのふたつに共通の思いをはせてきたのでしょう。

さて、しばらく以前、NHKで土曜の朝9時から、『精霊の守り人』をアニメでやっていましたよね。娘と一緒に大変面白く見ました。そのアニメのバルサが、僕的には原作のバルサとイメージが非常によく合っており、とても気に入っていたので、それ以来ますますこの『守り人』シリーズに愛着がわいています。
アニメといえば、先月から、上橋菜穂子の『獣の奏者』がNHKで始まりましたね。こちらも娘と一緒に見ています。娘は「エリンはちょっとむずかしいねぇ」と、よく理解できないようですが。
僕は原作の『獣の奏者』を早く読みたいので、文庫にならないかな~と思いつつ、先にテレビのアニメをどんどん見ちゃおうか自重しようか、迷っているところです。
どうせなら『守り人』シリーズの第2作以降もアニメになってほしいですね。

りかさん

りかさん 梨木香歩著;新潮文庫
りかさん (新潮文庫)

梨木香歩は昨年くらいから好きな作家です。
きれいな日本語の言葉で構成された文章と、どことなく不思議でもの哀しい物語が、とても魅力的だと思います。
今回は『りかさん』。
りかさんという、人間と心を通わせることのできる不思議な日本人形や、その人形を大事に慈しんできたおばあちゃんと触れ合うことにより、主人公の女の子が、人形たちが昔からの人間たちの営みの中で背負ってきた思いのようなものを感じとります。
そういう中で、人間の愚かさと優しさ、絶望と救いのようなものを描いています。
決して児童向きの本ではなく、むしろ大人に向けて発信された本なのではないかと思います。

人形っていうのは確かに不思議なものですね。特に子どもがとても愛情を持って接している人形は、本当に人間のように情愛を持ってもおかしくない。
そのときそのときに人間が抱えきれない、つらさや悲しみや喜びを、人形に託すことで救われる人間がいる一方で、そのような重い業や思いを背負わされた人形の方は、、、やはり人形にも抱えきれないくらいの重いものはあるのでしょうね。
僕は、男だからというわけではないのでしょうが、子どもの頃に、とっても可愛がった人形がいたという記憶はありません。
でも子どもに人形を大事にさせるというのは、とても大切なことなのだろうと思います。
まぁ、うちの子はあまり人形にべったりしないのですが、、、僕に似たのかな。

そんなこんなを考えさせられました。

梨木香歩の物語に出てくるおばあちゃんが、いつも良いですね。とても良い味を出している。こういう風に年をとって、こういう風に孫と触れ合えれば良いなと思います。

阿弥陀堂だより

阿弥陀堂だより 南木佳士著;文春文庫
阿弥陀堂だより (文春文庫)

実にしみじみとした、良い物語を読みました。
とても地味で静かな話なのですが、胸に染み入るような味があります。

なかなか芽が出ない作家が、医者である妻の心の病をきっかけに、生まれ故郷である田舎の寒村に移り住み、そこでの自然や人とのふれあいの中で妻とともに癒されながら、生について死について、言葉にできない何かをつかみとっていくという物語です。

阿弥陀堂守のおばあさんや地域の人たちや山や川や森などの自然についての描写が、淡々としているようでありながら、読み進めるにつれて本当に色々と考えさせられます。
文章や言い回しの上手さというのではなしに力を持った文章だと思いました。

物語の大半の舞台は、山奥の寒村のひとつの集落で、手付かずの自然が残っていて、人々が自給自足に近い生活をしているところです。
僕は先端的な科学・工学を志して、それを仕事としている一方で、こういう風な自然に溶け込んで地に足を着けた生活というものに撞着します。
これはもう人間の二面性のようなもので、僕に限らず誰にでもあるのかもしれませんが。
僕の住むつくばというところは、さまざまな研究所が集まる研究学園都市でありながら、かなり色濃く自然を残した田舎でもあり、僕の二面的欲求をそれなりに満たしてくれる場所です。
まぁ、「自然に溶け込んで生活」というには程遠く、庭で少々の野菜や草花を育てたり、地産の素材で味噌を仕込んだり梅干を漬けたり漬物を漬けたり、といったくらいでお茶を濁している中途半端さなのですが。
この『阿弥陀堂だより』に出てくる自然や人間の営みには遠く及びません。
それでもやはり身の丈にあったレベルでの「自然の力」「人間の力」というものを感じさせる場面に出くわすこともあり、そういう意味でこの本に精神が共鳴したのだと思います。

ということで、大変好い本でありました。

ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食を トルーマン・カポーティ著;新潮文庫
ティファニーで朝食を (新潮文庫)


この、題名は非常に有名な小説。実は今まで読んでいません。
オードリー・ヘップバーンの映画も見ていませんでした。
で、今回は、村上春樹の新訳版が文庫に入ったので、この機に読んでみました。

なんとなく、オードリーのイメージと題名からくる先入観から勝手に、おしゃれなセレブの恋愛小説かと思っていましたが、そうではなかった。
村上春樹の訳によるものなのか、それとももともとの小説としての魅力なのかは、わかりませんが、登場人物の皆のキャラクターがよく描かれていて、それぞれ生身の息吹を感じさせる人たちで、非常に生き生きとした空気が感じられる小説でした。
別の国の別の時代の物語なのに、それをほとんど感じさせられませんでした。
何というか、よく洗練されていて、とても感じの良い短編映画を見たときのような気持ちの良さでした。完成度の高い小説だと思います。

一緒に収録されている他の3篇の短編も、それぞれに魅力的で、とてもよかったです。
特に、「クリスマスの思い出」、しみじみと良かったです。

ぜひ一度、読んでおくべき名作でした。

三国志(13の巻) 極北の星

三国志(13の巻) 極北の星 北方謙三著;ハルキ文庫(時代小説文庫)
三国志〈13の巻〉極北の星 (時代小説文庫)

とうとうこの長い物語を読み終えました。
もはや何も言葉は要りません。ただ呆然と余韻に浸ります。
やはり、「何という三国志だ!」という思いですね。今まで読んできた三国志と
かなり読後感が違いました。
最後、巨星堕ちる五丈原。余韻を残して物語は終わりました。

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」のエピソードは無かったですが
それくらい仲達を恐れさせていたのは十分に書かれています。孔明恐るべし。

戦の中に生きる生きかたから離れた馬超。戦の中に生きることにより静かに静かに心が澄み渡っていった孔明。ふたりの心うちは違うようで、微妙に共鳴しあって、物語に深い余韻を残します。
でも僕は、その場にとどまってただひたすら戦うことを選んだ孔明の澄んだ透明な心に、涙が止まりませんでした。

あー、読んでよかった。読み終わってしまって残念。いつまでも読み続けていたかった。
そんな感じです。

三国志(12の巻) 霹靂の星

三国志(12の巻) 霹靂の星 北方謙三著;ハルキ文庫(時代小説文庫)
三国志〈12の巻〉霹靂の星 (時代小説文庫)

12巻まで読み終わりました。残すはあと1巻。
呉の孫権討伐から一気の魏侵攻という大戦略が潰え、何より主君劉備を失った孔明が
遺された志を果たすべく、蜀の再建に奔走します。

有名な、南蛮王孟獲を7度生け捕りにして7度逃がすエピソード。
単に孟獲を屈服させたというだけでなく、こんな背景があって、必要性に迫られ
南部地方の平定に向かったのだ、と納得させられます。
そして蜀の国力をわずかの期間に回復させた孔明が、勇将趙雲と若い将軍たちとともに
乾坤一擲の北伐策を持って魏に挑みます。ところが!
「泣いて馬謖を斬る」の意味がやっとわかりました。
孔明の胸の内を思うと、悔やんでも悔やみきれない涙が出ます。

というところで、諸葛孔明と司馬仲達を軸に、物語はラストに向かって加速します。

最後13巻、このままの勢いで熱い血をたぎらせたまま読み進めましょう。

三国志(11の巻) 鬼宿の星

三国志(11の巻) 鬼宿の星 北方謙三著;ハルキ文庫(時代小説文庫)
三国志〈11の巻〉鬼宿の星 (時代小説文庫)

11巻になりました。

いよいよ孫権討伐の機は熟し、呉に向けて復讐の進軍をする蜀の劉備軍。
するべきではない戦と感じながらも、劉備の男気の部分を止めようとはせず、逆にこの戦を乾坤一擲の戦略の中に位置づけた孔明。
破竹の進撃をするも、あと一歩のところで陸遜の策に嵌り、蜀は大敗北を喫してしまう。
この蜀と呉の戦から、失意の中で劉備が死を迎えるまでの、大変重苦しい巻でした。

劉備の死に涙するも、呉の陸遜には素直に天晴れと思いました。
老雄は少しずつ喪われていき、若い将軍たちの時代に移り変わりつつあります。
今後、遺された志を背負う孔明を中心として蜀はどうなっていくのか。
三国の関係はどうなっていくのか。
クライマックスに向けて、いや英雄たちの滅びに向かって、物語はさらに加速していきそうです。

「どうなっていくのか」なんて、いちおうこの後の筋も当然知っているんだけど、
この北方三国志は、まるで初めて三国志を読むような新鮮な気持ちで読んでいます。
あと2巻かぁ・・・
プロフィール

keiboor

Author:keiboor
茨城県つくば市在住の35歳・男
妻と5歳の娘、0歳の息子との4人暮らし
職業;エンジニア

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