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わたしたちが孤児だったころ

わたしたちが孤児だったころ カズオ・イシグロ著;ハヤカワepi文庫
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

11月18日読了。

とても長い物語でした。長さを感じさせるけど、読み進めるのが辛いという長さではなく、何と言うか、読むのを急がせない物語でした。
何だかゆるゆるとした、それでいて不思議と緊張感のある文章で、以前読んだ同じカズオ・イシグロの『日の名残り』と、手触りが同じような感じだと思いました。

主人公はクリストファー・バンクス、探偵です
彼が、自分のあらゆる記憶を(完全に覚えている記憶も、何となく不完全にしか覚えていない記憶も含め)頭の中で再現しながら、子どもの頃に両親が失踪した事件の謎に迫っていきます。
そう書くと、探偵小説あるいはミステリーっぽいのですが、そういうものではありません。
両親の失踪後、孤児として過ごしてきた過去を通じて、自分は立派な大人になったのだという自負を持ちながら、そのアイデンティティ確立の契機となった、自分が孤児となった事件(自分の周りで世界そのものが崩れてしまった)の核心に迫ることにより、「自分はいかに何も成し遂げていなかったか」を知っていく、そんな過程が淡々と書かれていきます。そしてたどり着いたラストは哀切です。
孤児というのはひとつのメタファーであって、僕も孤児になりえるし、誰しも孤児なのかもしれない。そういう底抜けの不安と、それでも世界が崩れるのを押し止めることはできるという希望が与えられる物語です。

いや~、カズオ・イシグロ。すごいです。
ひとことで「面白い」というのは憚られるし、「面白い」と感じない人もたくさんいるかも知れませんが、僕は面白かった。
ブッカー賞はダテでないですね。
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茨城県つくば市在住の35歳・男
妻と5歳の娘、0歳の息子との4人暮らし
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