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桜の森の満開の下 ~過去本その3

つくばも桜の花が咲き始めました。春です。
僕は家から会社まで、片道30分くらい歩いて通勤しているのですが、この時期は、ずーっと桜やコブシ(ハクモクレンかな)の花が咲き乱れる下を歩いていくような感じで、本当に気持ちよいです。
他にも名前は知らないけど、あざやかな黄色い花や小さな白い花がいっぱい咲いているし、街路樹には小さなキツツキ(コゲラかな)が良い音を立てているし、豊かな自然に感謝したくなります。
そういえばこないだ近くの農協直売所で山うどを買って味噌汁にしたら、苦味があっておいしかったし。春ですねぇ。

というわけで、桜の下を歩いていると思い出す一作。

桜の森の満開の下 坂口安吾著;講談社文芸文庫
桜の森の満開の下

これは凄いです。不気味で恐ろしくて、でも静謐な感じで。
桜ってすごくきれいなだけに、昔から畏れを持って見られていたんでしょうね。
ジャンルとしては時代物になるのか。。。ホント、酔ってしまいそうな濃密な文章で、背筋が寒くなるような雰囲気で、、、

『桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません。あるいは「孤独」というものであったかも知れません。なぜなら、男はもはや孤独を怖れる必要がなかったのです。彼自らが孤独自体でありました。
 彼は始めて四方を見廻しました。頭上に花がありました。その下にひっそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。』

ゾクゾクするような文章じゃありませんか?

坂口安吾は、「堕落論」なんかは読んだ人多いだろうけど、小説は意外と読まれてないんじゃないかな。小説こそ素晴らしいです。
文芸文庫に入っている安吾の小説は、ホント一読の価値あります。
まさに巨人です。

桜に関しては、梶井基次郎「桜の樹の下には」もいいですね。

『桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!
 これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。』

なんで桜ってこう想像力をかきたてるんでしょうね!
大騒ぎでお花見しながら、ふと不安な気持ちになったり。
まったく不思議で、魅力的な花です。

ともかく。坂口安吾。桜の森の満開の下。
満開の桜の下で読んでみては!?



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影踏み

影踏み 横山秀夫著;祥伝社文庫
影踏み

3月25日読了。

久しぶりの横山秀夫です。
横山秀夫は、文庫になっているものをどんどん読み進めていて、ほぼ全部読んだかなぁと思っていたら、先日ブックオフで未読を見つけたので、今回読みました。

主人公が泥棒さんです。これがまず意外!
そしてこの主人公が、ダーティーなんだけどとても強く、ヒロイックでハードボイルドで、カッコいいです。
連作短編集なのですが、彼が次々に遭遇し、いやおうなしに巻き込まれていくエピソードや事件、その背後の人間関係や結末が、ちょっと哀切な感じで、横山秀夫らしさが縦横に発揮されています。
しかもこの主人公は、過去に家族内で起こったある事件によって、双子の片割れと文字通り一心同体のようになっていて・・・
この双子の片割れとの関係も、ありえないと思いながらも、最後は「切ないなぁ」と思わせます。
好みは分かれるかもしれないけど、僕は好きでした。

横山秀夫と言えば、最初に読んだのは「半落ち」でした。
映画化されて話題になってた頃。あまりに絶賛されているときに読んだから、逆に期待しすぎていたのかもしれないけど、そこまで凄いかなぁ、という感想でした。
それが、同時に買った「第三の時効」!こっちでハマりました。
すごい!おもしろい!読ませる!
さらに「クライマーズ・ハイ」。もうこれで圧倒されて、あーこの人の本は全部読もう、と心に決めたのでした。
「クライマーズ・ハイ」については、いつか過去本として書かなきゃと思いますのでそのときに。

雑誌について

先日、ダ・ヴィンチの特集記事にまんまと乗せられて伊坂幸太郎を読んでみたら、とてもよかったということを書きました。
ということで、雑誌についてです。

ダ・ヴィンチは、僕が大学1年の頃からだから、もう14年くらい(!)毎月読み続けている雑誌です。
ダ・ヴィンチ 2007年 04月号 [雑誌]
あまり面白くない特集のときも時々あるけど、僕の青春時代に、良い読書の道標になってくれたと思います。

同じくほぼ毎月読んでいる雑誌。本の雑誌です。

これも、当たり外れはあるけど、結構おもしろい本の情報を仕入れられているような気がする。熱いんだか適当なんだかよくわからないような執筆陣も、いいです。

そして、最近いいなぁ!と思った雑誌です。yomyomです。
 
見た目はかわいらしいけど、中身は盛りだくさんだし、結構硬派な雑誌です。情報誌ではなく文芸誌。
季刊なので、ゆっくり少しずつヒマなときに読めばいいし、それで結構新たな出会いがある。
僕はyomyomの1号で、初めて梨木香歩という人の「家守綺譚」に触れて、「あ~こりゃ素晴らしいわ」と思って本屋に文庫本を買いに走ってしまいました。
たぶん、こうやってチョコ読みでもする機会がないと、梨木香歩の本を読もう、ということには一生ならなかったような気がします。これまでの僕の読書趣向では接点が持てなかったと思うので。

今後も、新たな出会いに期待しつつ、これらの雑誌とは付き合っていくんだろうなぁと思います。

重力ピエロ

重力ピエロ 伊坂幸太郎著;新潮文庫




3月21日読了。

初・伊坂幸太郎でした。
これまで何となく敬遠していた作家で。食わず嫌いってヤツです。
はっきりとした理由はないんだけど、ひとつは小説のタイトルが何となく気取っているというか、奇を衒っているというか、そういう感じがして。それに、クールでスタイリッシュな、とか言う書評が多かったので。
気取っていてクールでスタイリッシュな小説は基本的に嫌いなのです。

で、今回読んだきっかけは、ダ・ヴィンチでした。
ダ・ヴィンチ 2007年 04月号 [雑誌]
ダ・ヴィンチ4月号の特集で、伊坂幸太郎の特集をやっていて、これがなかなか良かった。力のこもった特集記事でした。
「読んでみようかな」というより、「読まなくちゃ!」と思わされるような(まんまと記事の思惑に乗せられていますね)。

前置きが長くなりましたが、そんなこんなで読んでみました。

読んでみると、やっぱり大勢の人がおすすめする作家の人気作品だけあります。面白かった。その構成力に脱帽です。
ミステリーというより、僕としてはステキな家族小説として読みました。何より泉水と春のお父さんのキャラクターが最高です。お互いがお互いを、深く思いやりながら、「俺たちは最強だ」と、家族でいることにとても誇りを持てている。
それでも春の出生の経緯は皆の心の深いところに根を張っていて、、、

考えてみると、この小説で扱っているのは、ものすごく重いテーマです。。。
それを、決して重くならない筆致で、でも読者に深く考えさせながら読ませるのは、見事だと思いました。

ということで、基本は伊坂幸太郎いいじゃん、って思ったんだけど。
ひとつだけ。会話がちょっと不自然すぎるのでは~!?
なんとなく村上春樹を意識しているような雰囲気が漂うけど、村上春樹の小説に出てくる人たちのしゃべりは、とても微妙な、自然と不自然の境界線上というか、、、とりあえずその小説世界の中では、引っかからずに読み進められるものです。
この本では、例えば泉水と「夏子さん」が、「走れメロス」と「山椒魚」の引用で会話してたりとか。普通しないでしょ~

まぁ、それにしても、読んで満足感はかなりあります。
また別の作品も読みたいなと思わせるに余りある作品でした。


神様からひと言

神様からひと言 荻原浩著;光文社文庫




3月17日読了。

荻原浩という人の本は、初めて読みました。
初めて読む作家の本に手を出すきっかけは色々ですが、僕は割りと書評だとか読書雑誌の紹介だとかに頼ることが多い。
この本は、妻の友人のまろさんからお借りしたものです。僕としては珍しい入り方。

で、読んだ感想ですが、、、とても良かったです!
人のオススメ本が自分にもヒットすると、とても嬉しい気分になりますね。
最初の方は、軽妙とか洒脱とかいうより、「軽い」文章だなぁという印象で、面白いは面白くてスラスラ読めるけど、何だかコメディドラマをノベライズしたかのような薄い感じでした。
それが、気づいてみると主人公の青年に共感し肩入れしている自分がいて、一緒に哀しみ、一緒に憤り、一緒に快哉し、、、
物語のクライマックス、一介のサラリーマンとして自分には一生できないであろうことを、この主人公はやります。
「何を怖がる必要があるんだ?自分にとって何が大切なことなんだ?」
という問いを、読者(特に会社勤めのサラリーマンであるならなおさら)に投げつけながら。
それはもちろん爽快で、良い読後感です。
で、それだけで終わりなのであれば、それは「サラリーマン金太郎」(漫画です)を読んで、「あ~気持ちいいな。スッキリした。自分にはできないけど」と言うのと同じ。
僕がこの本で、小説の力だなぁと思ったのは、「自分には何ができるんだろう」「こういう考え方をすれば確かに肩の力が抜けるなぁ」などと、読者たる僕自身にも自問自答させる点です。

僕も既に8年も働いていて、組織の手垢に汚れていないとは決して言えないけど、何か一つ、自分にとって大切なことを見失わないようにこれからも働いていきたいものです。

「会社なんて、おでん鍋といっしょだよ」

この言葉は、これから僕が仕事で凹んだときのために、胸にしまっておこう。そう、何も怖いことなんかないんだ、と。
「おでん鍋」って何のこっちゃ?って思うでしょ~
読めばわかります!

本格小説 ~過去本その2

本格小説 上/下 水村美苗著;新潮文庫
 

昨年か一昨年に読んだ過去本です。

島田雅彦の無限カノンを読んでいたら、この本と同じ匂いがするような気がしたので。。。この機会にご紹介。
過去に読んだ恋愛小説の中で、一番好きな一冊です。

なんだろう。物語自体はわりと陳腐な大仰な恋の物語なんだけど、これがとんでもなく読ませます。文学の香り立つような文章。きちんとした流れるような日本語。そして情熱的な感情が行間を流れるような濃密な文体。それでいて、決して難解ではなく読みやすい!
嗚呼、こんなに魅力的な文章を書ける現代作家がいるもんだ、と(生意気ながら)思いました。崩れた日本語を使い慣れた人たちすべてに読んでほしい!

ともかく、日本語の小説というものを堪能できる一冊です!


さて水村美苗のことを書いていたらさらに一冊追加したくなりました。

手紙、栞を添えて 辻邦生、水村美苗著;朝日文庫
手紙、栞を添えて

この本、ホント大好きです。
辻邦生と水村美苗が、往復書簡で文学について語り合います。その魅力的なこと!
紹介している文学作品もいいんだけど、なんといっても2人の書く日本語が、文章が、とにかくすばらしいです!そして、文学への愛に溢れています。

読書好きの方にはホントおすすめ!

エトロフの恋

エトロフの恋 島田雅彦著;新潮文庫
エトロフの恋

3月13日読了。

「無限カノン」3部作の第3部です。とうとう、読み終わっちゃった。。。

第1部「彗星の住人」では、カヲルに連なる4代の切ない恋の履歴が、狂おしく切なく描かれていました。
第2部「美しい魂」では、カヲルの不二子への切ないまでの恋情と、それを阻害する禁忌とを中心に、祖母やアンジュや義母のそれぞれの恋も含めて濃密に描かれていました。
そして第3部。
なんだか、前2部と打って変わって、どこか乾いたような、淡々とした筆致で物語が語られます。おや?と思いながら読み始めました。

一生を賭けた恋に破れたカヲルがたどり着いた、地の涯エトロフ島でのカヲルの生活が、淡々と綴られます。
そこは想像を絶する世界で、それまでカヲルがいた華やかな世界とはまるで別世界、黄泉の国と言えるほど。
そこでカヲルは、退屈と憂鬱(メランコリー)に沈み込んでいきながら、やがてその地での出会いを通して・・・

淡々としていながら、やはり読後感は非常に濃密な感覚が残りました。
さすがの筆力だなぁと思います。
特に、前半~中盤のエトロフ島の描写は、読んでいる僕までメランコリーに浸食されそうなくらい。

そして、「そこで終わるの~!?」というラスト。続編書いてくれないかなぁ。。。
読者の想像力をかきたてる終わりでした。

「無限カノン」3部作、通して考えると、「死」と「再生」の物語だったんだなぁと思いました。
言葉どおりの人の死のみならず、恋の死、感情の死、希望の死、、、そしてそれらの再生。再生に向かうための、人間の切ない営み。

ともかく、すばらしい、圧倒的な物語でした。

水滸伝 5 玄武の章

水滸伝 5 玄武の章 北方謙三著;集英社文庫
水滸伝 5 (5)

3月8日読了。

お楽しみの水滸伝、5巻目です。

この巻にきて、物語は一気に緊迫度を増し、それにつれて文章もますます熱く熱くなっていきます。
特に、楊志と闇の軍の戦シーンの壮絶さときたら!興奮せずにはいられない。

本巻の後半で特に活躍する3人の生き様は、圧巻でした。
僕は3回泣きそうになった。なんでこんなに小説の中の男たちに肩入れして感情移入しちゃうんだろう。それだけすごいんです!すごい小説を、今読んでいるんだなぁという幸福感があります。

しかし、この北方謙三の水滸伝を読んでいると、毎回、身が引き締まるような気がします。志とは何ぞや。。。男の生き様はどうあるべきか。。。
まぁ、今この現代の日本に生きる僕が、楊志や石秀なんかと比べようもないのですが。
腐った役人の国をひっくり返そうとか、民のための国を作ろうとか、そういう志は持てないにしても、常にお天道様に恥じないよう堂々と前を向いて生きていきたいものです。

・・・何を言いたいのか自分でもわからなくなってきたが、、、
とにかくこの本は、必読です!!!

風の影 ~過去本その1

風の影 上/下 カルロス・ルイス・サフォン著;集英社文庫
風の影〈上〉 風の影〈下〉

昨年読んだ本です。

今年読んだ本は逐一ブログで紹介しはじめたのに、昨年までに読んだ本をまったく紹介できないのは、もったいないなぁと思って、これからは昨年までに読んだ本でオススメのものも紹介していきます。

ということで、昨年読んだ本の中でもっとも楽しかった!読書の幸せ・醍醐味を味わえたのがこの本だと思います。

いやホント、とんでもなくおもしろかった!
ダニエル少年が、父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出会った一冊の本から、物語は広がっていきます。

上巻の最初の方だけ、ちょっとタルイかなぁと思いながら読んでたら、もう上巻の後半からは、完全にハマりました。ノンストップで読み続けて、残りページが少なくなるのが惜しいような寂しいような。。。

素敵なエンターテインメントです。舞台はスペイン・バルセロナ。物語の世界、雰囲気が心地よくて、すっかりバルセロナにいるような気持ちにさせられました。
内容は、恋あり、冒険あり、友情あり、人情あり、ミステリーあり、サスペンスあり、、、なんでもあり。
ネタばれしたらつまらないので、中身は語れませんが。。。とにかくよかったです!

世の中のすべての読書好きに勧めたい一冊です!

三国志 4の巻 列肆の星

三国志(4の巻) 列肆の星 北方謙三著;ハルキ文庫(時代小説文庫)




3月2日読了。

あっというまに3月になってしまいました。早いものです。
うちの近くの公園では梅の花が満開でした。

さて、北方三国志は4巻です。
この巻のメインは、曹操と袁紹が雌雄を決する、官渡の戦いです。
有名な、関羽が白馬津で曹操に手柄を立てて去るエピソードや、官渡の戦いの帰趨を決した、烏巣の兵糧をめぐる攻防など、本当にイキイキしていておもしろいです。

また、それ以外にも、劉備がついに曹操に反旗を翻したり、そうかと思うと曹操軍にあっけなく蹴散らされたり、孫策も日の出の勢いで勢力を拡大していたのが、ついに・・・
今後の展開に向けてそれぞれ群雄たちの動きがあわただしくなってくる巻で、ホントわくわくします。

ともかく、北方三国志は全ての登場人物に血が通っており、感情移入できるので、とにかくおもしろいです。なんか袁紹などにも少なからず感情移入したりしてしまいました。

まだまだ先が楽しみです!


プロフィール

keiboor

Author:keiboor
茨城県つくば市在住の35歳・男
妻と5歳の娘、0歳の息子との4人暮らし
職業;エンジニア

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