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村田エフェンディ滞土録

村田エフェンディ滞土録 梨木香歩著;角川文庫
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)

これも家にあった未読本からの一冊ですが。
いや~、これはいいね。すごくいい。素晴らしい一冊です。
とても佳い本に出会った、満足感があります。
どっぷりと読書の世界に浸り、本の中の世界にいるように心震え、そして何とも言えず残る読後感。爽やかさと同時に重く切ない感覚が残ります。

エフェンディというのは、トルコ語で先生とでもいうような、学問を修めようとしている人の呼称なのだそうです。滞土録の『土』は、土耳古(トルコ)の土です。
考古学を志す村田くんがトルコに留学して出会う人々との交流、土地の空気との交感、かけがえのない日々が淡々と描かれます。とてもいい文章です。
そして後半の、切なく衝撃的な展開。胸が締めつけられます。

ひとつひとつの文章が、言葉が、大切に思えるような、大事な一冊になりそうです。

ギリシャから来たディミトリス君が引用する、こんな一言が、ぐっと胸に迫ります。
『私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない』
そうありたいものですね。
近頃ほんとに自分のことあるいは自分の周りの狭い狭い世界のことだけを考える人が多いように思うけど、そうではなく、同じ人間として、助けを求める人には自然に手を貸せたらいい。おせっかいなほどに人と関わることも、大切なんでしょうね。主義とか思想とか国籍とか関係なく、人間なのだから。
そんなことを考えました。
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水滸伝 17 朱雀の章

水滸伝 17 朱雀の章 北方謙三著;集英社文庫
水滸伝 17 (17) (集英社文庫 き 3-60) (集英社文庫 き 3-60)

2月28日読了。

風雲急を告げる17巻。
前巻は暗殺狙いの暗闘がメインだったが、今回は激しい軍と軍の闘いです。
ついに、官軍最強の将軍、童貫元帥が全力で梁山泊に攻め込みます。その強いこと強いこと!
まさに軍神と呼ぶにふさわしい強さです。ほとんど反則です。

双頭山に始まり、梁山泊本隊まで、童貫率いる軍に梁山泊軍は翻弄されつづけます。
本当に信じられないくらい多くの好漢が、昔から梁山泊を支え続けてきた男が、自らの命と引換えに童貫軍を食い止めますが、足止めするくらいが精一杯。
一度は偽の講和工作により停戦に持ち込んだものの、少ししか時を稼げず、再び童貫は梁山泊に襲い掛かります。今度は全軍で。
いったいどうしのぐんだ~?まさに絶体絶命です。
そんな中、梁山泊をその手で作り上げてきた男から、梁山泊の多くの漢たちの血と志と命を託されてきた楊令が、ついに梁山泊のすべてを受け継ぎます。命のバトンタッチです。
楊令が立つ日も近いか?

さぁ、あと残すはわずか2巻です。
完結するのが寂しい・・・でも早く読みたい。
しかし、既に1年半近く水滸伝を読んでいることになるが・・・飽きませんね。あっという間だ。
とても幸福な1年半を過ごさせてもらっているのだと思います。

また桜の関連 ~過去本その4

週末の暖かさのせいか、今日はすでに桜が満開でした。
僕の通勤路ももちろん満開。深夜、満開の桜の下を歩いて帰ってくるのは、本当に恐ろしくも美しい。暗い中に桜の花がぼぅっと浮かび上がっているようで、見ている自分もぼぅっとしてしまいます。
「あやしふこそものぐるほしけれ」って感じです。

ということで、桜が印象的だった本。

絡新婦の理 京極夏彦著;講談社文庫
文庫版 絡新婦の理

おどろおどろしい表紙をめくって読み始めると一転、世にも美しい桜のシーンから始まります。情景が目に見えるよう。
そして京極堂の語りが、そのプロローグでは何のことやらわからなかったのが、ラストシーンで「おぉ!」とつながります。
この本は、とにかく桜のシーンが印象に残っているのもあるけど、中身も読み応えもバッチリで、京極堂シリーズの中で僕のイチオシです。

もうひとつ。

陰陽師 飛天ノ巻 夢枕獏著;文春文庫
陰陽師―飛天ノ巻

この中の、「鬼小町」というお話です。
この夢枕獏の陰陽師シリーズは、安倍晴明と源博雅が、庭を見ながら移ろい行く季節を見ながらほとほとと酒を飲みつつ語る雰囲気が、ものすごく好きで、全部読んでいます。
で、この「鬼小町」はやはり桜が印象的です。
ラストが、人の業の深さと愛憎の深さと救いのなさを感じさせて切ないのですが、そこに描かれる桜が、とてつもない雰囲気を演出して、もう圧倒されること間違いないです。


以上、今日はどっちも「妖し」の世界のお話でした。
やはり桜の影響か。。。
でもどちらも大おすすめです。

桜の森の満開の下 ~過去本その3

つくばも桜の花が咲き始めました。春です。
僕は家から会社まで、片道30分くらい歩いて通勤しているのですが、この時期は、ずーっと桜やコブシ(ハクモクレンかな)の花が咲き乱れる下を歩いていくような感じで、本当に気持ちよいです。
他にも名前は知らないけど、あざやかな黄色い花や小さな白い花がいっぱい咲いているし、街路樹には小さなキツツキ(コゲラかな)が良い音を立てているし、豊かな自然に感謝したくなります。
そういえばこないだ近くの農協直売所で山うどを買って味噌汁にしたら、苦味があっておいしかったし。春ですねぇ。

というわけで、桜の下を歩いていると思い出す一作。

桜の森の満開の下 坂口安吾著;講談社文芸文庫
桜の森の満開の下

これは凄いです。不気味で恐ろしくて、でも静謐な感じで。
桜ってすごくきれいなだけに、昔から畏れを持って見られていたんでしょうね。
ジャンルとしては時代物になるのか。。。ホント、酔ってしまいそうな濃密な文章で、背筋が寒くなるような雰囲気で、、、

『桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません。あるいは「孤独」というものであったかも知れません。なぜなら、男はもはや孤独を怖れる必要がなかったのです。彼自らが孤独自体でありました。
 彼は始めて四方を見廻しました。頭上に花がありました。その下にひっそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。』

ゾクゾクするような文章じゃありませんか?

坂口安吾は、「堕落論」なんかは読んだ人多いだろうけど、小説は意外と読まれてないんじゃないかな。小説こそ素晴らしいです。
文芸文庫に入っている安吾の小説は、ホント一読の価値あります。
まさに巨人です。

桜に関しては、梶井基次郎「桜の樹の下には」もいいですね。

『桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!
 これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。』

なんで桜ってこう想像力をかきたてるんでしょうね!
大騒ぎでお花見しながら、ふと不安な気持ちになったり。
まったく不思議で、魅力的な花です。

ともかく。坂口安吾。桜の森の満開の下。
満開の桜の下で読んでみては!?



本格小説 ~過去本その2

本格小説 上/下 水村美苗著;新潮文庫
 

昨年か一昨年に読んだ過去本です。

島田雅彦の無限カノンを読んでいたら、この本と同じ匂いがするような気がしたので。。。この機会にご紹介。
過去に読んだ恋愛小説の中で、一番好きな一冊です。

なんだろう。物語自体はわりと陳腐な大仰な恋の物語なんだけど、これがとんでもなく読ませます。文学の香り立つような文章。きちんとした流れるような日本語。そして情熱的な感情が行間を流れるような濃密な文体。それでいて、決して難解ではなく読みやすい!
嗚呼、こんなに魅力的な文章を書ける現代作家がいるもんだ、と(生意気ながら)思いました。崩れた日本語を使い慣れた人たちすべてに読んでほしい!

ともかく、日本語の小説というものを堪能できる一冊です!


さて水村美苗のことを書いていたらさらに一冊追加したくなりました。

手紙、栞を添えて 辻邦生、水村美苗著;朝日文庫
手紙、栞を添えて

この本、ホント大好きです。
辻邦生と水村美苗が、往復書簡で文学について語り合います。その魅力的なこと!
紹介している文学作品もいいんだけど、なんといっても2人の書く日本語が、文章が、とにかくすばらしいです!そして、文学への愛に溢れています。

読書好きの方にはホントおすすめ!

風の影 ~過去本その1

風の影 上/下 カルロス・ルイス・サフォン著;集英社文庫
風の影〈上〉 風の影〈下〉

昨年読んだ本です。

今年読んだ本は逐一ブログで紹介しはじめたのに、昨年までに読んだ本をまったく紹介できないのは、もったいないなぁと思って、これからは昨年までに読んだ本でオススメのものも紹介していきます。

ということで、昨年読んだ本の中でもっとも楽しかった!読書の幸せ・醍醐味を味わえたのがこの本だと思います。

いやホント、とんでもなくおもしろかった!
ダニエル少年が、父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出会った一冊の本から、物語は広がっていきます。

上巻の最初の方だけ、ちょっとタルイかなぁと思いながら読んでたら、もう上巻の後半からは、完全にハマりました。ノンストップで読み続けて、残りページが少なくなるのが惜しいような寂しいような。。。

素敵なエンターテインメントです。舞台はスペイン・バルセロナ。物語の世界、雰囲気が心地よくて、すっかりバルセロナにいるような気持ちにさせられました。
内容は、恋あり、冒険あり、友情あり、人情あり、ミステリーあり、サスペンスあり、、、なんでもあり。
ネタばれしたらつまらないので、中身は語れませんが。。。とにかくよかったです!

世の中のすべての読書好きに勧めたい一冊です!
プロフィール

keiboor

Author:keiboor
茨城県つくば市在住の35歳・男
妻と5歳の娘、0歳の息子との4人暮らし
職業;エンジニア

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