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片隅の迷路

片隅の迷路 開高健著;創元推理文庫
片隅の迷路 (創元推理文庫)

復刊です。
これはもう、今をさかのぼること17年前、高校2年生の頃から気になってた本でした。
当時同じクラスの親友から来た年賀状に、『開高健の「片隅の迷路」はおもしろいぞ!』というコメントが書いてあって、あ~読みたいなぁと思いつつ、当時手に入らなかったんでしょうね。読まないまま今に至り、最近文庫で復刊の報を聞いて、取るものもとりあえず読みました。

確かにおもしろい。社会派・硬派の開高健の面目躍如です。
冤罪の恐ろしさ、人の心の弱さと強さ、社会の冷たさと希望。
そういったものが余すところなく書かれていて、非常に濃密でした。
ストーリーも、ノンフィクション特有の強さはあるのですが、何といっても文章の力だと思います。
本からぐぐぐっと圧力を感じてしまうような一冊です。

最近は裁判員裁判が始まり、一般人も人を裁く責任を負わなければならないことが普通に想定されるようになりましたが、人を裁くというのは本当に重くて、間違いは許されないのだなぁと思います。
とはいえ、間違うなという方が酷なことであるので、どういうスタンスで臨めばいいのだろう。。
やっぱり怖いなぁ。。。などと考えました。

しかし高2でこの本を読んで、しかもクラスメートに年賀状で薦めてくれた友よ!
すばらしいねぇ。
「あぁ、文化的な生き方、文化に心の扉を開いておくというのはこういうことなんだ」と、後の僕の人生に無視できない影響を及ぼしてくれた年賀状だったのだよ。
覚えているかなぁ、、、ソバ。ね。
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久しぶりの

どうも、長らくブログの更新を怠っていました。。。
長期出張がたびたび入ったり、何かとバタバタしており。
あっという間に7月ですね。
この間、読んだ本はたまる一方で。
これからまた、ぼちぼち感想を掲載して行きたいと思います。

ところで、7月6日に男の子が生まれました~
本好きの坊や→文学青年 に育てたいと思います。なんて。

虚空の旅人

虚空の旅人 上橋菜穂子著;新潮文庫
虚空の旅人 (新潮文庫)

精霊の守り人シリーズの続きです。

今回は、バルサはほとんど出てこず、チャグムが主人公。
いや~立派になっちゃって、チャグム。
父親のような感想を抱いてしまいます。
作者も、この物語からシリーズが大河物に舵を切っていったと述べていますが、確かにひとつの転換点だなぁと思いました。
今までの話でも、世界に深みがありましたが、この物語からますます深みと奥行きが増して行って、なんだかとても濃い世界が舞台になってきた感じです。

シュガの、チャグムを見守る目や感情が、とてもいいですね。温かく、でも優しいだけじゃない。何とも言えない思いが込められているのがよくわかります。
そういう感情の襞のようなものを、このファンタジックな世界を舞台にしても非常にリアリティを持って描かれているのが、このシリーズをとても魅力的なものにしていると思いました。

さて、そろそろ文庫でも次の巻がでるのかな・・・楽しみです。

斜陽

斜陽 太宰治著;新潮文庫
斜陽 (新潮文庫)

どうも久しぶりの更新です。
長期出張に行っているとどうしてもブログに穴が開きます。その間、本は結構読んでいるんですけどね。

さて、今年は太宰治の生誕100周年にあたる年ということで、各メディアでよく取り上げられていますよね。
松本清張も同じく生誕100周年ということで、この2人が同い年だとは知らなかったです。。。
というわけで、今年は少しこの2人の著作を再読も含めて読んでみようかと思っていました。
折しも朝日新聞の日曜日の書評欄で、重松清が主宰する読者参加型の読書会が連載されており、4月の課題図書がこの『斜陽』だったので、今回斜陽を読んでみました。
たしか初読は高校生の頃なので、かれこれ17~18年前くらいになります。ざっくりした内容は覚えていたのですが、そんなに印象には残っていない。たぶん当時はよくわからなかったのでしょう。
さて34歳にしてこれを再読すると、、、だいぶ印象が違いますね。かず子や直治の心の裡が伝わってきて、だいぶ面白かったです。
破滅に向かう一本道を皆がそれぞれのやり方で歩いていきます。
結局のところ、精神的な解放を夢見ながらも、最も旧来の価値観に縛られて苦しんでいるのは本人たちであり、自分で自分を苦しめているような感じなのですが、それが太宰の心象の正直な投影だったのだと思います。
最終的にかず子が決意した革命の実行は、、、どうなのでしょう?これでいいのか、と現代的な価値観からはよくわからないところはありますが。
なんにせよ、登場人物の各々が、それぞれの美学、滅びの美学とでも言うべきものを持っていて、それが矜持であり、美学とか矜持とかいう言葉を久しぶりに思い起こさせてくれる小説でした。
やはり傑作といわれるだけあり、力のある本です。

火花-北条民雄の生涯

火花-北条民雄の生涯 高山文彦著;角川文庫
火花―北条民雄の生涯 (角川文庫)

火花のような一瞬の煌きの人生を生きた作家、北条民雄の生涯を綴った評伝です。
ハンセン病を患い、絶望と希望の狭間を行ったり来たりする北条民雄の心の揺れを、本人の行動から丁寧になぞっています。
隔離病棟に入り絶望の淵で文学と対峙し、やがて川端康成に見出され、彼の文学が世に出たときの歓喜と、それにも負けない大きな苦悩の日々。
読んでいて心が痛くなるような本でした。
僕は文学者ではないけれど、文学愛好者として彼の短かった人生を惜しみ、悼みます。

・・・といいつつ、北条民雄の作品を読んだことはないのですが。
いつか『いのちの初夜』読んでみようと思います。

火花に例えられるような人生を生きてみたいかというと、迷うことなく僕はそうではなく、細く長く人生を生きたいと思っています。
でも人生のうち一度くらい、まぶしいくらいの煌きを放ってみたいとも思います。
小さな煌きでもよいので。

いずれにしても、健康に、自分でコントロールできる人生を生きているだけでも、それを喜びありがたいと思いながら生きていくべきだし、そう生きたいなと思いました。

日暮らし

日暮らし 宮部みゆき著;講談社文庫
日暮らし〈上〉 (講談社文庫) 日暮らし〈中〉 (講談社文庫) 日暮らし〈下〉 (講談社文庫)

宮部みゆきさんの時代ものです。
前作の「ぼんくら」に続き、愛すべきキャラクターたちが繰り広げる、人情味と面白さ・切なさあふれる傑作です。
やっぱり期待通り、大変おもしろかったです。

前作よりも構成がさらに凝っていて、いくつかのショートストーリーがプロローグのように語られ、その一つ一つも大変よく、それらがメインストーリーにつながり収束していく構成は本当にうまい!

登場人物がみんな生き生きしていて、時代ものだというのに特に違和感もなく、楽しみながら読めます。
ぼんくら同心の井筒平四郎、その甥っ子の弓之助や友達の「おでこ」、岡っ引きの政五郎、煮売屋のお徳、佐吉。その他にも今回初めて登場した面々も大変よいです。。
とても愛すべき人たちです。
でも湊屋とか、悪いやつはやっぱり悪いし腹が立つ。
今回は、悪人は悪として、容赦なく書かれていましたね。

最後、人の心の鬼を書くことにより事件の真実が明かされますが、ここの部分は少し、なんというか、、、説得力が少し足りないような気がしないでもないですが。
しかし全体のおもしろさを打ち消すものではないです。

また続編に期待したいなぁと思います。

チャイルド44

チャイルド44 トム・ロブ・スミス著;新潮文庫
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

昨年、かなり評価の高かったミステリです。
「このミス」の海外作品部門1位だとか。
うわさに違わず、とても面白くドキドキしながら読みました。

旧ソビエト連邦の、スターリン体制下の時代が舞台。
主人公の、国家保安省の捜査官が、偏執的な同僚の追い落としにあいながら、全土で頻発する子供を標的とした殺人事件の真相に迫っていきます。
国家こそ正義でありすべてであった彼自身の心は次第に変化していき、妻との関係も取り戻しながら、彼を抹殺しようとする追っ手をかわしつつ行き着いた先は・・・
というような内容です。
面白いサスペンス・スリラー映画を見ているかのような、手に汗握る展開で、ページを繰る手を止めることができません。
最後に明らかになった、犯人の動機には、ちょっとうなずけない感じで残念なのですが、それを差っぴいてもおつりが来るくらい、楽しませてもらいました。

ただ。
そこまで大絶賛されるほどの本だろうか?
ここから先は完全に個人の感じ方の差になっちゃうのですが、僕的には、『羊たちの沈黙』や『ミザリー』の方がドキドキしたし恐かった。それらに較べちゃうと、うーん。旧ソビエトの国家保安省という舞台仕立てが、僕にとってはあまり馴染まなかったのか。
さらに言うと、それまで国家が唯一絶対の忠誠対象であるという主人公の世界観が完全に覆されていくのであるから、その過程において、もっと哀しく切なく、呆然とする思いが主人公にあると思うのですが、そのような喪失感みたいなものはあまり感じられなかった。そこが少し物足りない感じです。

とは言え面白さは折り紙付きですので、ぜひどうぞ。

プロフィール

keiboor

Author:keiboor
茨城県つくば市在住の35歳・男
妻と5歳の娘、0歳の息子との4人暮らし
職業;エンジニア

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